送電線工事
ヘリコプターを使って鉄塔を解体しています
道が無く車が入れず、索道も作れない様な山岳地では、この様にヘリコプターを使って解体することもあります。
50万ボルト送電線の補修をしています
電線補修のため、電力線に乗り出しています。電力線に傷が入っていないか点検します。
電力線の下側は見えにくい為、左写真のようにカゴの下に鏡をセットして点検します。補修が必要な傷があった場合は、右写真のようにロットと呼ばれる補修材を巻きます。
電力線の延線、緊線状況
電力線を延線したあと、設計で決められた電線の弛みになるよう、電線の長さを調整しながら両端のがいし装置に取り付けています。
直線スリーブ測定
電力線と電力線を接続している直線スリーブの圧縮状況を測定しています。写真は宙乗機という道具を使って電力線に乗り出しています。
参考:真冬の鉄塔状況です
大雪の時は、鉄塔がこのようになっています。見ただけでも寒くなりますね。
他にも様々な工事があります。随時更新していきます。
付録:鉄塔ができて電線が張れるまでの一連の流れ(例)
チョッと長いです。時間がある方は一読してみてください。
(この現場は、弊社が㈱中電工様の下請けとして工事した現場です)
鉄塔を組み立てる為のステージ(足場)を組み立てます。部材が汚れないようにするため、部材が滑って下に
落ちないようにするため、部材を組みやすくするため、などの目的で使われます。鉄塔組立の際には必須の工程です。
山の中の鉄塔組立の場合、クレーン車が使えません。
この場合は、写真の様な台棒と呼ばれる部材を吊るためのアームを準備します。
台棒は、3方向以上に支線を取って慎重に起こします。
さきほど組み立てた足場の上に、部材を地上で仮組みします。「地組み」と呼ばれています。
鉄塔の上では重たい部材を手で持って組み立てると、非常に時間がかかり、また危険を伴います。
このため、ある程度地上で部材を組んでおき、鉄塔の上では、その部材をボルトで取り付けるだけで済むようにしておきます。
地組みした部材は、台棒を使って吊り上げ、鉄塔に取り付けていきます。
巻上げエンジンを使って部材を吊り上げるので、塔上作業員と地上作業員(エンジン係)との連携が要となってきます。
また、塔上作業員はキーロックと呼ばれるロープを腰に取り付けてあり、墜落防止の補助として機械的に無胴綱にならない様な工夫がされています。
鉄塔はだんだん高く組みあがってきます。
塔上作業員と地上作業員の連携が大事だと記載しましたが、次第に大声を張り上げても聞こえない高さになってきます。
さらに地上作業員はエンジンを使っているので、エンジン音で声はかき消されます。
大袈裟すぎるほどの手合図をしたり、塔上無線と呼ばれるハンドフリーの無線機を使ったりして、意思疎通を図ります。
鉄塔が組みあがると、ボルトが規定の力で締め付けてあるかどうか、ボルト検査を行います。
トルクレンチを使って、全てのボルトに対して締め付け検査を行います。
ここまでで、鉄塔組立の工程は終了します。次からは電線を張る準備に入ります。
なんだこの写真は?と思われるかもしれませんが、少し説明させてください。
新設したばかりの鉄塔と鉄塔の間には、何も線がありません。細いロープを歩いて引っ張ればよいのですが、
住宅や線路、道路、様々な障害物があり、歩いて引っ張ることは殆どの場合できません。その時、よく使われるのが
ヘリコプターですが、、、
ヘリコプターを使った工事は、このページの最初にも紹介したので、今回は別の例を紹介します。
高速道路を一時的に通行止めにした例です。警察の方にもご協力を頂き、数分程度の通行止めをしました。
協力いただいた方々に感謝です。
あらかじめ、高速道路の両脇まで鉄塔の上からロープを引っ張っておき、通行止めに備えておきます。
通行止ができたら素早く両脇に引っ張っておいたロープを繋ぎます。
その後、両際の鉄塔で巻上げエンジンを使って
ロープを張り上げます。あっという間にロープは遥か上空の鉄塔間を結ぶ線になりました。
ロープを1本張るだけでは電線は引っ張れません。
先ほど鉄塔間を渡したロープに、自走器と呼ばれる機械をセットし、延線準備をする為のロープを渡します。
自走器は名前の通り、自分で勝手に走行する機器です。
自走器が新しいロープを引っ張って、隣の鉄塔まで到着しました。このロープを使って、電線を引っ張る準備をします。
自走器で引っ張ったロープに、電線を引っ張るロープや金車をセットして、反対側の鉄塔にそのロープを抜き替えます。
金車は、電線を引っ張る時に延線張力を少しでも少なくできる、延線中に鉄塔間で電線が下がらないようにする、
などの目的で使用されます。吊金工法といいます。
この写真は、電線を引っ張るための巻き取りエンジンです。クローラウインチと呼ばれます。
このエンジンは、自動尻手取り装置が付いており、人の手を介さずに巻き取ることができます。
また、巻取り部にはガードが施されているため、安全に設計されたものです。(写真は㈱中電工様から借用しています)
この写真は、ドラム場の風景です。電線の前にセットしている機材は、シューチェン延線車と呼ばれる機械です。
電線を適切な張力で延線するための制動装置です。
電線ドラムは、延線車のバックテンション機能を有したドラム架台を使用します。(写真は㈱中電工様から借用しています)
ドラム場から鉄塔までの吊金延線状況の写真です。X金車(えっくすきんしゃ)と呼ばれる金車を使用しています。
写真で分かるとおり、鉄塔までの間に木々があり、この様な障害物を避けて延線するためにも、吊金工法は大事になってきます。
また、適切な張力で延線するための延線車の存在も欠かせません。
鉄塔間の吊金延線状況の写真です。3線吊金と呼ばれ、この1セットで3本の電線を延線することができます。
何か、変なものがぶら下がっているのが分かるでしょうか?拡大して見てみましょう。
ヘビのような形をしていますね。これはランニングボードと呼ばれています。
延線中に、電線の「捻回」を防止するためのカウンタウェイトとして使用されます。
このランニングボードは、金車の中も通過できる仕組みになっています。
金車通過中のランニングボードの状況写真です。上の写真と比べてみれば、うまい具合に金車を通過しているのが分かると思います。
緊線状況の写真です。緊線とは、電力線を延線した後、設計で決められた電線の弛みになるよう、
電線の長さを調整しながら両端のがいし装置に取り付けることです。
写真の人は「架線はしご」と呼ばれる足場を設置してその上に乗って緊線作業を行っています。
架線の完成写真です。写真に白色の陶器のようなものが何枚か見えます。これが「がいし装置」です。
がいし装置は鉄塔と電線の間を絶縁する装置で、電気を鉄塔に流さないようにしています。
完成したばかりの設備は非常に美しいものです。完成物を見る度に、今までの困難や苦労も相まって 達成感にズッポリ浸ってしまいます。高所からの景色も非常に美しく、しばらく余韻に浸ることができます。
このように、送電線の設備は、様々な工夫が施されています。また施工する場合も、より熟練の知識と経験、 技術を要する仕事であることが分かるでしょう。
▲ページの先頭へ